「ごめん。」③

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  つづき

 

 

 

「1日も早く楽になりたいよね。でも考えてみよっか。
離婚は、山下ひとりでするものじゃないよね。

 

奥さんと山下がいま、結婚していて、

離婚することもふたりで決断することだよね?」

 

 

「・・・うん」

 

 

「じゃあ、山下は今すぐ楽になりたいから離婚したい。

 

でも、奥さんは? 今すぐ離婚することが彼女にとって苦しいから、

だから4月まで待ってほしいんじゃない?」

 

 

「・・・・・うん。」

 

 

「1日も早く離婚したら楽になれると思ってるのは、山下だけ。
でも私は苦しいから離婚したくない。って言われるよ。」

 

 

「・・・そうだな。」

 

 

 

 

「またいつもと同じだね。

私に、離婚するまで会うの辞めようって言われちゃうね。

 

それが、山下が本当に望んでることだった?」

 

 

 

   違う。」

 

 

「じゃあ、どうして?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・好きな人が、いるから、

 

       だな。」

 

 

 


 

 

 

山下は、本当のことを伝えるのを怖れていました。

 

たとえば、「今すでに付き合っているひとがいる」という事実を、

山下自身は

 

まったくもって責任を持って受け止めていなかった。

 

 

ただ流されて、流されて、

 

その自分がとっている行動に対して

 

意識をすることから逃げ続けていました。

 

 

 

もし山下が、わたしとの関係について

 

「離婚はしない。でもマイと付き合いたい」とか、

「離婚するまで待っていてほしい」とか、

 

「相手にはこのことは一切言わずにいたい」とか、

 

しっかりと自分の決断について
見つめられることができれば、

 

さほど複雑にはなることはないのです。

 

 

それの決断に対して私が気に食わなければ

会うのをやめるだけでしょうし、

 

わたしはわたしでしたいようにするだけで

こじれることもありません。

 

 

問題は、

 

 

山下自身が

どうしたいのか全くわかっていない

 

 

それだけなのです。

 

 

 

山下は、自分のしている行動に対し

罪悪感を抱くことすらしていませんでした。

 

潜在意識では激しい罪の意識に苛まれているでしょうが、

 

何せ「感じない」麻痺状態の長い

リハビリ必須のこじれしくじり男なので、

 

ほとんど

 

私に対しても、そして結婚している彼女に対しても

 

「何も感じないように」

ごまかしごまかし立ち振る舞っているだけなのです。

 

 

悪気もゼロ。

 

 

山下は、普通にいいやつです。

 

 

だからこそ、たちが悪い。

 

 

傷つけたくないのに、好きな人を傷つけ、
そして、好きだった人を傷つけ、

そして最終的に自分で自分を傷つける。

 

 

誰も幸せにはできません。

 

 

わたしは、好きな男に、

 

どうしてもそこには気づいてもらいたかった。

 

 

 

 

「わたしという一人の人間のことが、今好きで

一緒にいたいから、だから、1日も早く決着をつけたい。」

 

 

 

山下は私の顔などチラリとも見ませんでした。

 

もうじき、

自分がこれから告白しなければいけないことや

 

今まで何度も恐怖の渦のなかで窒息しそうだった
その染み付いた記憶のなかで

 

震えおののいているように見えました。

 

 

 

山下は、その「感情」を

どうしても、

 

味わいきらねばなりません。

 

 

 

 

 

そうしなければ、

終わりはこない。

 

 

万が一簡単に離婚することができたとしても、

 

その山下の中に残った「感情」は、

そのまま根付いたまま

 

同じ感情を引き起こす出来事は起こるからです。

その相手は、次は私かもしれません。

 

 

 

 

これ以上、好きな人が苦しんいるのを見たくはない。

 

それはわたしのエゴです。

 

 

 

 

山下は、ほとんどガチガチに固まった身体を
ゆっくりと持ち上げて

その日、帰ろうとしました。

 

 

 

血の気の引いたような顔をしている山下の目を
まっすぐに見て、

帰る前わたしは山下の手をとり、

 

下の名前をこころをこめて、呼びました。(わたしは彼のことを山下とは呼んでないです。笑)

 

 

 

 

「もし、本当のことをちゃんと相手に伝えることができたら、

 

それで結果がうまくいかなくても、

私は、なにも言わない。

 

 

もし、本当のことを相手に言わなくても、

山下の思う通りの結果になるのであれば、

 

余分なことは言わなくていい、

 

いいね。

 

 

 

 

そして、もし、

 

どうしても、

本当のことが言えなくて、

 

そして、

 

今までと何も変わらなかったら、

 

 

会うのを、

 

 

辞めようね。」

 

 

 

 

 

 

山下は、

 

しっかりと、頷き、

 

 

そして帰っていきました。

 

 

 

 


 

 

次の日、

わたしはじっと「今」にありながら、

 

何がおこるのかを待っていました。

 

わたしは本当にじっと「今」にあるに集中し、

期待も、不安も、そこにはありませんでした。

 

 

 

その前後は、山下のこと以外の出来事で

既にどん底まで落ち続けていましたので、
これでもし山下がまたしくじり

二度とこの泉に「山下」の二文字が
登場しなくなったとしても、

 

これ以上失うものはないわあ

 

と思いながら

忘れていたプロフィールなど更新していた夜

 

 

そう、

 

速報を上げたあの夜です。

 

 

 

その日は、山下に

一度も連絡をしませんでした。

 

 

山下が、たくさんのことを思いながら

すごす1日を

わたしはただ、どんな結末が待ち受けていようとも

尊重しようとそれだけ決めて、

 

ただ黙っていました。

 

 

そして山下から

メッセージが届きます。

 

 

 

 

 

 

 

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まさか

しくじらない山下とは。

 

 

山下じゃねえわ。

 

 

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