いつも先へ行かなければならないまいさん
いつも、相手に何かを見せなければいけないまいさん
その苦しみは、本当に何ひとつ分けて私が預かることができないだろうけど
でも、その苦しみを想像してる人間が、
この世に最低でもたったひとりはここにいること
どうか、いつも忘れないでください
いつか、昔、ひとまわりも、ふたまわりも、さんまわりも私が癒される前のこと
3次元の、物質の世界で、わたしをみた人は、わたしが自分のことを
赤裸々に話していることを好きになった。
このまえ、「プライベートの切り売り」みたいなはなしになって、わたしもテレビで、作家の人が、自分の人生はすべてネタで、それをすべてお金にする、みたいな言い方をしていたのをみたことがある。
当時のわたしはそれに似ていて、それを売り物にしようとしたつもりは毛頭ないにせよ、恋人が自分の膣の中で射精するさまを描写することが、ひとの心になにかをつついたようだった。
いつしかわたしはそれをしなくなった。
自分の人生や日々が、単調になったり、たいくつになったりしたわけではなく、書くことがなくなったわけではなく、ただ自然と変化した。
それはわたしにとって、変化を重ねるたびに、しぬほど怖いことだったし、今の自分は、いつかの「相手になにかを見せていた」自分とは違って、
ただ静かに黙っているようにおもえる。
なにかを示さなければいけない、みたいな義務も、いつか昔に脱ぎ捨てて、いまたくさんのひとに支えてもらいながら、生きている感じがするから
だれかがそうやって、わたしのことをみていてくれることに
ただ、涙が出た。
迷い、迷い、迷い、ただその森から抜けるためだけに歩んでいる気がする今
誰かがちゃんと、わたしのことを想っていてくれる。