7730円の手切れ金③

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同時に複数のことが起こっている場合、片付けるのは至難のわざである。

そしてそれは見事なタイミングで縺れ合いながら、目の前を塞いでいく。

 

 

少し前に、その人のためにネット経由で海外での買い物をした。

直接頼まれたわけではなかったが、欲しいものが海外でしか手に入らない話の流れで、

慣れているわたしが代わりに請け負ったのである。

多少の面倒はあるが、アメリカやらヨーロッパからの買い物を

日常的に行っているわたしにとって、大した手間でもなかったので、

喜んで引き受けたところであった。

 

実際蓋を開けてみると、思ったよりややこしかったため、

わたしはアメリカに住んでいるスタッフに頼んで、

あれこれ手間をかけながらやらなければいけなかった。

それも含めて、誰か好きな人のために何かをするのは、心地がいいものである。

 

少なくとも、注文して、さて届くまでしばらくお待ち下さい♪、というタイミングまでは

そうであった。

 

 

話が前後し、ややこしくなったのは、それがクリスマス時期で、

わたしもまた、彼に欲しいものを買ってほしいという前提が転がっていたからであった。

代わりに行った買い物は、決して安いといえる金額ではなかったが、

立て替えられない金額でもなければ、ぎりぎり気持ち良く払うことのできるものであった。

日本までの送料や今の為替レートも含めると、もともと想像していたよりも高かった。

 

自分の買い物だったら、たぶんもっと上手な方法を使って安く済ませることはできたが、

人にプレゼントしたい時は、正規ルートで多少高くても、

無駄遣いをしたほうがよい。

 

本来事前にお金を受け取ったり、立て替えなくてもいいように手配したり、

そういう気の回し方をするのもひとつのやり方だが、

いろんな人がいて、それはその人の人格と必ずしもイコールではないことは

よく分かっていた。

 

わたしにはいろいろなクライアントさんがいて、

わたしは自分が何かものを買ったりサービスを受ける時、

できるかぎりさっさと支払いをして、すっきり受け取りたい性分だが、

そうではない人もいることを知った。

 

最初、数ヶ月も支払いをせずに放置しているクライアントさんが

どんな心境でいるのか想像がつかなかったが、

請求書を送る前にさっさと振り込む方もいれば、

きちんとプランを提示して正確にお支払いしてくださる方もいれば、

いつまでたっても入金がなく、何度か請求書を送って初めて払ってくれる人もいた。

 

本来商売として、何ヶ月も放置するのはわたしの無精でもあるのだが、

こういう仕事をしている限り、感情的な部分であるとか、

「お金」に関して激しくこじれている方も非常に多いので、

そこはかなりゆるく長期で見守っているのである。

 

仕事に関してのお金のやりとりは、自分がこの仕事を始めてから、

何度も壁にぶちあたりながら今まで来ている。

悩んだことも、オエオエしたことも山ほどありつつ、

それも必要なプロセスとして学び続けているが、

 

仕事以外

個人のお金のやりとり

しかも相手は好きな人

しかもこともあろうに、クリスマスシーズン

 

という何重にも重なった壁がどしんと目の前に現れたのが、今回であった。

 

 

買い物をした時、わたしは正直、そのお金を彼から受け取るつもりがなかった。

代わりに買い物をしただけなので、当たり前のように払ってもらえるとは思っていたが、

欲しいものもいろいろあったので、

代わりにコインケースとか、そのうち指輪とか香水を買ってもらえたら、

それで大満足だったのである。

 

それだけ見れば、相手に対する過剰な「期待」とか「見返り」というのとは少し違っていて、

まだ純粋さは残っていた。

純粋なブツブツ交換を望んでいたのである。

でもことは、それだけにとどまらなかった。

 

それが最終的に「なんでわたしばっかり」に変わるのに、

さほど時間はかからなかった。

 

 

彼に会う予定だった日、わたしの体調は先ほど書いたとおり、史上最悪であった。

普段体調を崩すことがあっても、そんなときにおしゃれをして

遠距離の彼を迎えに上がった挙句、8時間待たされて、

そのあと深夜に自ら長時間運転をする、ということはまずありえない。

 

まずそこでわたしの中に、はっきりとしたコントロールとシナリオが出来上がっていたのは、

“昼からのんびりドライブをして、デートができると思っていた”

ということであった。

 

何かを楽しみに待つというのは、それ自体は悪いことではないが、

そこに過剰な「期待」が混じると、

叶わなかったときに取り返しがつかなくなる。

一瞬でそれは不満に色を変え、相手だけではなく自分も蝕んでいくのである。

 

わたしは彼が仕事の前日から来るのは、自分に逢うためにそうしてくれたのだと思ったのだ。

というか、もしかすると当初は、彼の中でもそういう気持ちはあったのだろうと思う。

でもわたしはそれを台無しにした。

 

わたしはデートが丸つぶれになったことにがっかりしただけではなく、

自分がひたすら消耗して、こき使われたような錯覚に陥った。

犬のように尻尾を振って、高速を走らせ彼を迎えに行き、

倒れるかもというぎりぎりのところを彷徨ったのち、

一緒に過ごせる時間はほぼ、なし。

 

彼は、ゆっくりわたしと過ごす時間を避けているように見えた。

少なくとも、最初はわたしのために時間を作ってくれていたが、

もうそういう感覚はほとんどゼロに近かった。

 

わたしは見事に、“愛人” “都合のいい女” の役割を演じてみせたのである。

 

 

 

 

 

 

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