理由がないから

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そのひとの腕まくらのうえで

柔らかい肌に触れながら

 

いろいろな、

はなしをした。

 

 

 

 

 

 

 

”わたしのどこが好きなの?”

 

そのひとに、訊く。

 

 

 

”理由は、ないよ。”

 

 

”理由があったら、その理由が消えた時点で

まいのことが好きじゃなくなる”

 

 

”理由はないよ。

だから、好きは、いつまでも変わらないよ”

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしの愛しているひとは、

 

そういう人だ。

 

 

 

 

 

 

”わたしに好きなひとができても、

それでも好きで、いてくれる?”

 

 

そのひとに、訊ねる。

 

 

 

 

 

”まいのことを好きなのは、

まいに、”好きな人がいないから”、という理由ではないので

そこでまいのことを好きじゃなくなる理由が、見当たらないね”

 

 

 

ということは、わたしに好きなひとができても、

それでも好きで、いてくれるということね?

 

 

 

”それが、嬉しいかどうかは別として。”

 

 

 

 

 

わたしの愛しているひとは、

 

 

そういう人だ。

 

 

 

 

 

 

 

眠りについて

そのひとは、ベッドから起きたり

 

またベッドに戻ったりしながら

 

 

何度も、

 

何度も目を覚ましていた。

 

 

 

 

ベッドの端っこで

 

小さく丸くなって

ハリのあるシーツに

直に素肌を包まらせて眠る私のことを

 

 

何度も

 

抱いて

 

 

その度に

 

 

 

”自分の側にだけ、ずっと居て”

 

 

と優しい声で、囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”自分の側にだけ、ずっと居て”

 

”あなたの側に、ずっといるわ”

 

 

”自分の側にだけ、ずっと居て”

 

”あなたのことだけを、ずっと、好きでいるわ”

 

 

 

 

 

 

 

 

それが、

一体よなかの何時くらいに交わされた言葉なのか

 

見当もつかないし

 

 

夢だったのかもしれないけれど

 

 

 

何度も

 

何度も

 

同じことを言われて

 

わたしは、

何百回でもそれに応えたいと

 

そんな風に思って

 

 

最後

 

 

 

”あなたがそう願う、もっとずっと前から

最初から

 

わたしは、あなたのことだけを愛し続けることを

望んでいたわ”

 

 

”最初から

わたしはそうしたかったのを

 

知ってるでしょ”

 

 

 

半分夢の中でそのひとに
どうか伝わりますように

 

声に出したあたりで、

 

涙が滲んだ。

 

 

 

 

わたしは、

 

そのひとのことだけを見つめていることを

許してほしかったのだ。

 

 

 

 

 

”わたしに好きなひとができても、

それでも好きで、いてくれる?”

 

 

という質問は、わたしにとって

 

「あなたのことだけを見続けることを

許してくれますか」

 

という意味だった。

 

 

 

 

そのひとが、

どう感じたのか

 

わたしは知らない。

 

 

わたしが忠犬のようにその人に

尻尾を振って”大好き”を伝えていたのは

 

いまに始まったことじゃないから

 

 

だからこれ以上、どう愛を表現していいか

わからなくて

 

 

ときどき、戸惑う

 

 

 

 

 

”じゃあ、あなたも

この先ずっと、わたしのことだけを好きでいてくれる?”

 

 

きっと答えは、

 

”わからない”

 

だろう。

 

 

 

 

 

わたしの愛しているひとは、

 

 

たぶん、そういう人だ。

 

 

 

 

 

 

 

わたしのことが、

 

好きで、好きで、好きで

仕方なくて

 

 

この先もずっと、わたしのことだけしか

目に入らなかったとしても

 

 

 

”わからない”

というような

 

 

 

”先のことはわからない”と言う直後に

 

”理由がないから、まいのことはずっと変わらずに
好きでいるよ”

 

 

というような

 

 

そういうひと。

 

 

 

 

 

 

 

あなたに好きなひとができても、

いま好きなひとがいたとしても、

 

 

いつまでも、あなたのことだけを

好きでいるわ

 

200年後もずっと。

 

 

 

 

誰かのことを見ているかもしれない

 

あなたのことだけを見て

 

 

死ぬわ

 

 

 

全然、それで、幸せ。

 

 

 

 

 

 

 

”死ぬときは、看取ってあげる”

 

 

なんとなくそう伝えてみたけど

 

半分眠っていたから

 

あなたがなんて答えたかは、

 

忘れた。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにわたしがあなたのどこが好きかというと、

うーん。

 

ジョークが面白くないとこかな。

 

 

大丈夫、この先何かが間違って突然
面白くなっちゃっても、

 

 

好きでいるわ。

 

 

200年後もその先もずっと。

 

 

 

 

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