フードトラック

 

 

Néné table 000

 
何でもかんでも横文字にするでない。

フードトラックというのは移動販売ぐるまのことである。

 

名古屋の久屋大通公園という場所でひとり、オシャレな人類に塗れて途方に暮れていた私。

 

 

オシャレな人間というのは単品だと大好きだが、集団になると具合が悪い。

どう頑張っても昔から垢抜けない自分が大好きで、

”ダサい”は最高の褒め言葉だと未だに思っているわたくしなのであります。

 

 

 

そんなわたしは昼ごはんに

パクチーソバめし六百円也とカボスラベンダーソーダ五百円也を選び、

これ以上ないほどのオシャレな食事だと思って橙色のベンチに腰掛けている。

 

 

 

 

 

 

20後半から三十路にかけて、わたしはニューヨークに住んでいた。

 

日本に帰って来て何に驚くかというと、

nyでは実にオシャレでもなんでもない文化が、
魔法にかけられたかのようにオシャレに打ち出されているという点である。

 

 

 

オシャレな人間を斜め上から見下ろしているというか見下している、
実にオシャレじゃないわたしなのだが、

外国から来たものは、外国から来たというだけで

今も昔も変わらず、ハイカラなのだろう。

 

 

 

フードトラックもそのひとつであるはずだ。

ニューヨークにも街中に移動販売車はいた。

 

 

公園の脇、裏通り、いつも職場に向かうブロードウェイ、観光地。

 

 

 

食えたもんじゃないくらいのソーセージから、
ザガットサーベイで絶対に頂点を譲らないインドカレー屋から色々だが、

基本、移動販売車はオシャレなものではない。

 

 

 

 

ときどきブルックリン出身の洒落たロゴの
アイスクリーム屋もあったが、

そんなものは邪道である。

 

 

 

ひたすら現地人が極めたメキシコかインドか
ハラル肉のトラックは薄汚れていて、

地味でそして旨い、庶民の、庶民による、庶民のためのものなのである。

 

 

 

そこ久屋大通公園にて爽やかな秋空のしたに繰り広げられている

オシャレフードトラック祭りには、

エルダーフラワーティーだかなんだか知らない
オシャレな黒板に書かれた高級茶か、

 

ドイツナンチャラポークフォカッチャと書かれた
むやみやたらと聞こえがいいパンか、

 

なによりも許せないのは販売している人間たちに

ダサい人種が一人も見当たらないということである。

 

みんなベレー帽をかぶっているか

メガネをかけている。

親子連れはお揃いの横のシマシマ模様のTシャツを着ている。。。

 

 

 

 

いつか日本に輸入されて今やコンビニにも並ぶベーグルは、

老人には噛みきれない弾力と硬さがウリのオシャレなパンだが

 

ニューヨークにおいてベーグルといえば、
もともとわたしの所縁の深いユダヤ人の常食で、

貧しいものたちのための主食で、

 

当時のわたしのような貧乏留学生のための食べ物以外の何者でもなかった。

 

腹が膨れて腹持ちがよく、安いという要素に、
ひとつも代官山・青山的オシャレの入り込む余地はない。

 

 

今でもベーグルは大好きなわたしだが、今のところnyで2、3軒
ほんとに美味しい本気のベーグル屋に匹敵するベーグルに、日本で出会ったことは、ない。

 

 

 

オシャレフードトラック祭りにおける本日の所見。

 

ちなみに花びらの浮かんだラベンダーカボスソーダに、

ラベンダーの味は一向にしなかったが、

美味しゅうございました。

 

 
今日も幸せに、ご馳走さまでした。
Néné table

 

 

 

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