〔   〕

還る、場所がある。
どれだけ道に迷っても、

必ず帰って来られる場所。

 

デザイナーさんがその一点をわたしの中に見出し、形にする。

それは根底に流れているものであり、

不変であり、おどろくほどにシンプルなので
自分では何が原点なのか

わかっているようで、わからなくなる。

 

わたしはすぐにそれを見失う。

 

 

ロゴを依頼したデザイナーさんとの

打ち合わせを始めてからすでに3ヶ月以上。
何度もなんども、毎回何時間も

話をした。
自分の大切にしていること

将来のビジョン

 

何もかもを。

 

 

 

では次の打ち合わせお願いします

が続いた。

 

 

 

わたしのなかに、すでにあるもの。

すでにあるのに、

到達しない時間は続いて

 

 

 

そして前回の打ち合わせ時

初めて、
「あ、ほとんど核心に来ましたね」
と彼は言った。

 

 

わたしはそれがなんなのかは分からなかったが、

とにかく待った。

 

 

 

そして今日。

提示してくれる前に、一通りの経緯と説明がある。

 

 

「シンプルになりました」

と彼は言った。
「色んな言葉を当ててみたのですが、
どれも一語ではどうしても漏れがあり、

最終的にびっくりするほどシンプルなものが」

 

 

「今までデザインの仕事をやっていて、
これだけはコンセプトに来ることはないだろう、

と思っていたものが来ました」

 

と。

 

 

 

コンセプトというのが一体なんなのか、

どんな形で提示されるのか

わたしには想像もできなかった。

 

 

 

手渡されたA4の封筒には、

5ミリくらいの厚みがあった。

全部で35枚。

 

 

 

「シンプルです」
と彼はいった。

 

 

 

 

 

試しに表紙をめくると、

2枚目には
真っ白な紙の上に空っぽのカッコだけが載っていた。

 

 

 

 

 

そしてストーリーが始まり、

 

緊張しながら

一枚一枚ページをめくった。
わたしはすでに、泣いていた。

 

 

 

 

今までに何度も自分の言葉にしてきた

泉の物語。

 

 

 

くどいくらいに、

 

自分の中心にはなのがあるのかを

見つめ続けてきた。

 

くるしいときほど、そうした。

 

 

 

 

 

それが、どうだろう

ひとの言葉で、
松永まいを

アクアエスリスを
表現してもらったときの
これほどまでの
新鮮さと
アクアエスリスが
ひとに委ねられた
安心感

 

 

 

 

 

 

そしてわたしは、

 

アクアエスリスとは別の、

 

還る場所を与えられた。

 

 

 

 

 

後から聞けば、

1日でコンセプトが決まるひともいるらしい。

 

 

 

名前や形にこだわること

デザインに妥協しないこと
そんな表面的なことは、もう

 

どっちでもよくなっていた。

 

 

 

なんていうか、疲れていた。

 

 

 

 

 

でも彼が言葉にしてくれたストーリーは、

紛れもなく

わたしを泉の元に

還すこととなった。

 

 

 

 

また、

歩んでゆける。

 

 

 

これからの未来に

もう一度、

しっかりと光が差すのを感じた。

 

 

 

ephias 

コンセプトストーリー

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