「ごめん。」②

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①つづき

 

 

わたしは泣きじゃくりながら
ほとんど何も考えずにしゃべっていました。

 

 

ただただその時は疲れていて、

 

その時はすでに

 

「だから離婚してください」という意識は
まったくありませんでしたし、

 

山下が今後どんな選択をするかは

わたしにはほとんど関係ありませんでした。

 

 

 

 

うまく説明ができるかわかりませんが、

 

 

「わたしのことだけ見て欲しい」という

わたしの中にある「私の本音」は、

あくまでも私のなかにあるものです。

 

 

「わたしのことだけ見て欲しいから離婚して」という

相手に何かを求めるということは

 

一見「わたしのことだけ見て」と似ていますが、

 

すでに「わたしの中」から相手へと繋がっている状態です。

 

 

 

そこにはコントロールが既に発生しています。

 

 

 

「相手に気持ちを伝える」ときの自分で判断する材料として

 

それが、ただ自分のなかにとどまっている感情なのか

その先に相手に何かを求めている思考がつながっているのかを

 

一度見つめてみるといいかもしれません。

 

 

 


 

 

 

 

わたしはそのときとても疲れていて、

一切考えて喋ることをせず、

 

 

さらに言えばその時点で山下が結婚していようが
奥さんの名前をなんと呼ぼうが、
離婚してわたしの元へ来ようが

どうでもよかった。

 

 

そこは既に手放している状態で、

 

 

ただ、わきあがってきた

「悲しい」

 

を相手にぶつけました。

 

 

 

そこには、目的はなかったのです。

 

 

 

 

わたしは、

わたしの、

 

「悲しい」を、

感じたかった。

 

 

そのために、

その感じていることを

 

そのまま山下へ伝えました。

 

 

 

 

山下は、

 

「ごめん」とも、

 

ひとことも何も言わずに、

 

 

そのまま疲れて眠る寸前のわたしを
腕のなかに抱えながら

 

 

ただ、

 

黙っていました。

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日から、10日も経たぬうちに

4月に離婚する予定だった山下は

 

離婚届にサインをもらって

 

私の元へやってきたのです。

 

 

 

 

 

 

実は山下が「話をしにいく」ことを聞いたわたしは、

 

その前日、

 

 

山下にいつもどおり質問を投げかけていました。

 

 

 

「どうして離婚するの?」

 

 

 

山下に離婚がしてほしいわけではなく、

山下に自分の本当の感情とつながってほしいと

 

 

それを目的に私はセラピストとして

山下となんどもなんども話をしてきました。

 

形だけ離婚したところで、何かが解決するわけじゃないことは
何度も今まで書いてきました。

 

 

 

わたしは、山下が

 

「自分の気持ちを伝えに行く」と言ったとき、

 

 

(コイツは自分の気持ちがどこにあって何なのか
全くつながっていないくせに、

一体何をどう伝えにいくというんだ・・・)

 

と思い、

 

 

 

「自分の気持ちって?」

 

 

と尋ねます。

 

 

「おれは、離婚したいと思ってる」

 

 

 

「あのさあ、離婚したいと思ってるっていうのは、
11月に離婚届を渡しに行った時に伝えてあるんだよね?」

 

 

いつも通り始まります。

 

わたしの女子としてのイライラを抜いて、
セラピストとして「中心」から投げかける問答。

 

 

「・・・・」

 

山下のパターンとして、自分がよく見えていない
自分の深層部分に触れられると恐怖で固まるということがあります。

 

これは「責められ」「自分がダメな人間」だと感じなければいけないことへの

激しい抵抗です。

 

彼は今までのリレーションシップ(恋愛)において
このパターンを繰り返しています。

 

私はいつもどおり山下の目が泳ぎ、
そわそわと落ち着かずに迷路に迷い込む様子を

じっと見つめながら、

 

注意深く続けました。

 

 

 

 

 

 

「山下が離婚したいと思ってるのは、
彼女は既に知ってるんだよね?」

 

 

「知ってる。」

 

 

「でも、離婚、できてないよね。
まだ、彼女は、心の準備に4月までかかるんだよね?」

 

「・・・・・」

 

 

自分の本当にしたいこと、
本当に望むこと、本当に感じていること、
本当の理由と

 

自分自身がつながっていなければ、

自分で自分の人生の舵をとることはできないのです。

 

 

 

 

 

「もう一度聞くね。山下の本当の気持ち、
伝えたいことはなに?」

 

 

「4月じゃなくて、1日も早く離婚がしたい。」

 

 

「どうして?」

 

 

「これ以上今の状況は続けたくない」

 

 


 

山下は、典型的な「山下」なのですね。

 

自分の感情とつながっておらず、「思考」で話をしている。

そして、質問の回答が答えになっていないのです。

 

 

 

これは英会話のレッスンでも私が容赦なく叩く部分なのですが、
(いまは英会話もうやっていません)

日本人の思考回路と欧米の思考回路の非常に異なる部分で、

 

日本語とは、とにもかくにも「曖昧に」「非論理的」なやりとりが

許される文化なのです。

わたしは続けました。

 

 

 

「どうして?」

 

「いまのどっちにも動けない状況が、これ以上は耐えられない」

 

「どうして耐えられないの?」

 

「・・・・・・」
「今まで、関係が悪くなってから半年以上苦しんで、
夢にうなされて、別居を決めて、別々に住んで
話をしなくなって1年以上経つんだよね。」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

「1年以上話をしなくて別居が続いて、苦しかったでしょ?」

 

「・・うん。」

 

 

「じゃあ、その1年苦しいのが、

あと数ヶ月のびるだけだと思わない?

 

何か違いがある?」

 

 

「・・・・・・ない。」

 

 

「じゃあどうして?」

 

「1日も早く楽になりたい。」

 

 

 


 

 

このやりとりがどういう状態なのか

おわかりいただけるでしょうか。

 

 

 

感情を掘り下げていくひとつの方法で

疑問を投げ続けてゆき段々と深めてゆくやりかたで

自分自身に対してももちろん行えるのですが、

 

 

山下の答えは、それ以上奥には進まないようになっています。

 

 

 

「これ以上今の状況は続けたくない」

「いまのどっちにも動けない状況が、これ以上は耐えられない」

「1日も早く楽になりたい。」

 

これは、「なぜか」と投げかけ
一段一段深まっているのではなく、

 

同じことを何度も「言い換えて」いるだけです。

 

 

本当の感情や本当の理由に

たどり着くのが難しい場合、
何かしらのブロックがかかり反発が起こると

このような状態になります。

 

 

 

前と同じく、

 

質問を投げかけている私にとって

山下が何を恐れているのかは明白ですが、

 

それを「本人に自覚」させるのが

わたしの仕事です。

 

 

 

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