自分の本音を、まずは知る①

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山下は言った。

「今は、どうにもできない。」

 

私は、尋ねた。

「どうして、 今は、  どうにもできないの?」

 

 

「話して、また色々言われるのがいやだから・・・」

 

「どうして、  色々言われたら、   いやだ?」

 

 

 

「・・・・色々言われたら、また、前みたいに、
夜うなされたときみたいに、傷つくから・・・」

 

「どうして、   前みたいに、傷ついたらいけないの?」

 

 

 

「・・・傷ついたら、かっこ悪いから?」

 

 

 

 

「わたし、山下に、何度も嘘つかれて、
何度も泣いて、わめいて、たくさん傷ついて、
たくさんひとりで苦しんだよ。

 

いままでも、山下以外のひととの出来事でも、

 

いつもたくさん傷ついて、何度も傷ついて、

 

それを、いっしょうけんめいそのとき感じて、

それを、いま、人にさらけだすことをしてる。

 

 

       わたし、かっこ悪い?」

 

 

 

 

 

「・・・・・ううん、全然。」

 

 

 

「どうして、傷ついたら、だめなの?」

 

 

 

 

「だめじゃない

 

だめじゃないね。」

 

 

 

「色々言われて、傷ついたら、どうなる?」

 

 

 

「からだが、固まって、身動きがとれなくなって・・・・・

 

 

 

 

 

        怖い。」

 

 

 

 

 

 

 

「どうして、今はどうにもできないのか、

その本当の理由が、

 

わかった?」

 

 

 

 

 


 

 

わたしはその日、

久しぶりに彼の前でセラピストになった。

 

山下は、最後、

しずかに、頷いた。

 

 

 

山下は、何が起こっているのか

本当にわからずにいたことが、

 

そこで、やっとわかった。

 

 


 

 

 

終わらせる覚悟が、始まり

 

あの夜息を切らして戻ってきた日、
「もう待てない」と泣きじゃくった私に、

 

「今年中になんとかする」とだけ言った山下。

 

 

大阪行きの前に、いろいろな理由で
彼を手放したわたしは、

ひとりでもがき苦しんで、

彼から連絡がくることはありませんでした。

 

 

 

 

大阪から戻ったあと

 

「25日は何してる?」と連絡がきたとき

 

 

山下が約束を果たして、離婚を決めて、

わたしに会いにくるのだとそう思いました。

 

 

わたしはワクワクしながら、
胸をドキドキさせながら、

 

「独身男限定で
デートに誘ってくれるひとを探してる」

 

とさらり、返事をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山下は、ずっと曖昧なまま、
そして、23日の夜

 

「4月に離婚届にサインしてくれることに決まった」

 

 

と言いました。

 

 

来年になって4ヶ月後。

 

 

それでも

 

「会いたい」と、言う彼に、

「脅してまでサインを強要することはできない」

と言う彼に、

 

 

 

 

私は荒れて、

荒れて、

 

すさんだまま、

ひとりきりのイブの夜を過ごしました。

 

 

 

 

ビニールがかかったままの
袖を通していない腰にリボンのついた
赤いワンピースは、

 

 

どこにも行き場をなくしてしまって

 

 

わたしはひどい顔をしたまま
一歳の息子と一緒に、24日の
夜閉店直前のトイザらスにかけこんで

 

 

店内を、仕事帰りのパパたちが
ああでもないこうでもないと幸せそうに
首をかしげているのを眺めました。

 

 

 

おおきなレゴの箱を三つ抱えたわたしは
がちゃがちゃの前から動かない息子を

少し離れたところから見守りながら

 

 

 

 

自分のために、
自分自身のために

 

何もプレゼントを用意しなかったことを
悔やみました。

 

 

 

 

どれだけ欲しいものをイメージしても、

それは、

 

どれも、自分が自分に買ってあげたいものではありませんでした。

 

 

 

 

わたしは、

かわいい洋服も、

アクセサリーも、

パソコンも時計も指輪も香水も

 

 

好きなひとが自分に買ってくれることが
それが嬉しかっただけで

 

 

 

それ以外に、

 

ほんとうに欲しいものなど

 

もう何ひとつ思い浮かびませんでした。

 

 

 

 

 

 

そのとき溢れ出た

怒りも寂しさも悲しみも

すべて思うままにRにぶつけたあと、

 

 

 

わたしはずっと横になって

部屋はぐちゃぐちゃのまま
ごはんもずっと食べずに

 

気がすむまで、

泣きました。

 

 

 

 

 

そしてしばらくしてから、

 

いま、自分が「絶望したい」と望んでいることに
すぐに気づきました。

 

 

いま、この寂しさと惨めさを

抜けるまで徹底的に味わい切って、

 

 

 

 

そしてわたしは大好きなひとと
本当はこれから毎年祝日を祝いたいんだ。

 

と自分に立ち返りました。

 

 

 

そして「感じる」を本格的に始めてからまだ
丸一年経っていないことに気づきます。

 

 

 

一年あれば、クリスマスがきて、
正月がきて、そして

誕生日がきて、

 

一年に一度のイベントのなかで
わきあがる「感情」

 

おきざりにしてきた「感情」を

ひとまわりするまで

 

 

味わい尽くすことを

 

自分はしたいのだ、とわかりました。

 

 

 

 

わたしは、
「自分が愛されてない」と

思いたいのだ。

 

 

「まだまだ、
自分は誰にも愛されない」と

 

思いたかった。

 

 

 

 

そこを味わい切って、
抜けるまで、

その苦しみは続きます。

 

 

 

 

 

 

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