終わらせる覚悟が、始まり③

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わたしはどんどん忙しくなっていました。

セッションの問い合わせも増えてきましたし、
とにもかくにも「書く」時間を確保したかったし、

グループセッションの予定を組むことも
東京行きや大阪も決まり、

 

1分たりとも下らない男に費やす時間は
ありませんでした。

 

わたしは、「自分」を粗末にしていました。
「彼に会いたい」を優先させて、

本当は自分のために「休みたい」し
もっと「書きたい」を、後回しにしてしまいました。

 

 

ずっと、歪みは出ていたのです。

 

「わたしは、わたしを、大切にしなければ」

 

深呼吸をして、毎日に丁寧に向かいました。

 

もう山下が二度と来なくても、全然構わない。
そう、思っていました。
そして数日後、
ある雨の夜、

 

「今日は予約できますか」と

何事もなかったかのように連絡がきます。

 

わたしは、ずるく、弱く、
また自分を偽ってしまったのです。

 

嬉しくて、
また会いにきてくれることが嬉しくて、
胸をときめかせながら、

 

「料金表に準ず。」

と即返信したわたし。

 

 

山下は、先日なんで怒られたのか
いまいちわかっていない、たわけた様子で
小さなバラとともに現れ、

 

いつも通り、わたしはお茶を入れ、

 

「なんでわたしが突き放したか、
わかってないでしょ」

 

と言いました。

 

 

山下は、やっぱり、わかっていなくて、
「どうしていいか、わからない」

と言いました。

 

 

わたしが、彼の痛いところをどんどん突いて責め立てると、
「感情」がでてきます。それは、彼の過去のパートナーシップの中で
彼自身がズタズタに傷つき尽くしている場所でした。

 

ずっと長い間抑圧されつづけてきている、
怒りと、怖れが顔を出し、

「汗が出てきた」と彼は言いました。

 

 

わたしは、山下の奥底の感情を出す試みを、

いままでなんどもやりましたが、

 

それは、固く蓋がされていて、
「感じるのが怖い」山下は、

 

ある程度まで行くと

 

必ずフッと醒めるか冷静になってしまうことを

繰りかえしていました。

 

 

その日も同じで、

 

わたしは、

 

「このひとはまだ変わるつもりはない」

 

「このひとじゃない」という主の声を、

 

会うたびに確認するような作業に入っていました。

 

 

 

彼は、何度か離婚のための話し合いの約束を
とりつけていましたが、
毎回ドタキャンされたり逃げられ、

 

そのたびに、

「おれは悪くない、おれはちゃんとやろうとしてる」

と思い込んでいました。

 

 

わたしが初めて募集したグループセッションで素晴らしい経験をして
また一段階上昇した最高の気分の帰り道、

もう身体中が喜びと祝福で満ち溢れていたその時、

 

山下から

「またやられた、イラついてる」

 

と、気分を害するようなメッセージが届きます。

 

 

それはもう一度や2度のハナシじゃなかったので、
わたしは怒りを通り越してあきれ返り、

宇宙人になりきることに徹しました。

 

 

まともに返事をする無駄な時間は使いたくありませんでした。

わたしは、すでに、何十回と必要なことは伝えてきたのです。

 

 

でもそれはセラピストとしての自分で、

 

女としての本音は、

ただただ、悲しくて、

 

まっさらになって、わたしのことを抱きしめに来てくれることを
わたしはずっと待っていて、

今か今かと期待していて、

その富山の帰りもそうだったのです。

 

山下に会うことを、ワクワクしながら
キュンキュンしながら待っていた自分のことが、

 

もう許せなくて、

涙が出ました。

 

 

「思い通りになってよかったね」

 

   「良くない」

 

「なんで?」

 

   「前に進まない」

 

「なんで?」

 

 

思い通りにならないのは、
自分がそれを望んでいるからです。

 

前に進まないのは、
自分が足踏みをしていたいからです。

 

山下が、いますぐ彼女に会えない理由など、
ひとつもないのです。

 

どこに住んでいるかはわかっていて、
どこに勤めているのかを知っていて、
家の鍵はもっていて、

 

「逃げられる」の意味がそもそもわからないのです。

 

「会わない」のは、
彼自身の選択なのです。

 

 

他人軸で生きている人間には、
この仕組みが見えていません。

 

過去のわたしも、もちろんそうでした。

 

ちいさな金魚の水槽を前に、
「金魚が捕まらん」「おれは捕まえようとしてる」

と、

穴の空いたアミで何度も何度も掬おうとしている

滑稽な姿。

 

 

でもわたしは、

そんな説明すらせずに、

 

 

ただ、見切りをつけることにしました。

 

 

それまでも、

山下の言動が、矛盾に満ちて
支離滅裂だったことは何度もあったのです。

 

本人は、精一杯わたしに、自分に、
向き合おうとしているつもりなのです。

 

 

でも、

「自分とつながること」以外に、

「相手と本当の意味でつながる」方法は、

 

残念ながら、

ないのです。

 

 

 

 

その夜、

わたしは彼に、初めて長いメールを送りました。

 

 

丁寧に、いまの自分の状況と、これ以上は
わたしにはできることはないの旨」を書いて、

 

別のカウンセラーさんを紹介しました。

 

 

 

 

わたしのところには、今後は来ないでほしい。
山下の中に明らかな変化が起こるまで、時間がかかってもいいから、

しっかり向き合ってほしい。

 

あなたのことを救えるのは、あなたしかいない。

 

英会話ももちろんこれで終わりにするし、
会ったら、わたしは、

 

絶対にまた会いたくなってしまうから

そんなに自分は強くはないから

 

わたしは、

山下の話を聞くには、

もう山下のことが好きすぎる

 

 

 

と、

 

「もう会わない」を

 

心を込めて、まっすぐに、

自分の言葉にしました。

 

 

それを書いたときは、わたしは彼にほとんど幻滅していましたから、

さほど苦ではありませんでした。

 

 

わたしは、いま絶好調に流れている自分の人生のほうが
当然ながら優先させたいし、大事にしたいと

心の底から感じていたのです。

 

 

 

 

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